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| 日本の狂犬病発生状況 |
わが国の狂犬病の発生は18世紀中頃からみられていますが、中国から入ってきた犬によるといわれています。
19世紀に入って数100頭に及ぶ犬の狂犬病の発生が毎年続いていましたが、1915年頃から増加して1,000頭を数え、関東大震災の後では3,000頭を超えるまでの大発生をみました。犬のそのような大流行に伴って、当然のことながら人の狂犬病患者すなわち死亡者も比例して多くなり、数10名から200名以上の死亡者がありました。
第2次大戦中の1944年にしばらく発生の少なかった狂犬病が突然多発し、1955年までの10年間は毎年100頭から1,000頭近い大きな流行をみました。
しかし、犬では1957年以降、人でも1955年以降狂犬病の発生はありません。 |
| 狂犬病撲滅の対策 |
日本で狂犬病を撲滅することができたのは、第2次大戦中から戦後数年の流行を契機として、狂犬病についての関心が高まり、狂犬病ウイルスの感染増殖伝播源である犬の対策が十分行われるようになったからです。
わが国はアジア、アメリカやヨーロッパ大陸と異なり、狂犬病の発生源である野生動物やコーモリなどの関与がほとんどなく、それまでも犬が発生動物のほとんどを占めていました。1949年に狂犬病撲滅対策要領が出され、その翌年には狂犬病予防法が公布施行されるようになり、さらに海外からの輸入犬についての監視も徹底されるようになりました。そして、放浪犬や野犬のとりしまりと、それらの捕獲が徹底的に実施されるようになり、飼い犬については登録義務とワクチンの注射が実施され、さらに放し飼いの禁止と常に繋留するように指導されました。
このように狂犬病撲滅の三本柱「登録とワクチン」「野良犬の捕獲」「検疫の強化」等を進めた結果狂犬病を撲滅することができたのです。
幸いなことにその後の経済の発展と動物愛護精神の普及等から、犬に対する理解が深まり、愛玩犬あるいは伴侶動物としての地位が確保され、最も人と絆の強い動物となってきました。このような犬が、人にとっても最も恐ろしい狂犬病に罹ることは、飼い主をはじめ家族にとっても非常に危険な事態になることが理解されるようになって、狂犬病予防のためのワクチン注射が日本各地の隅々にまで浸透するようになったことは狂犬病撲滅のための追い風となったと思われます。 |
| 目的 |
狂犬病は狂犬病ウイルスを保有する犬・猫・コウモリなどの野生動物に咬まれて感染する致死的な伝染病です。このように発病後の有効な治療法は存在しません。
ただし、ワクチン接種によって予防が可能です。これはヒト以外の哺乳類でも同様であり、そのため日本では狂犬病予防法によって、飼い犬の登録と飼い犬へのワクチン接種が義務化されており、狂犬病の侵入・蔓延を防いでいます。 |
| 方法 |
狂犬病予防法では、犬の所有者は狂犬病予防注射を毎年1回受けさせることが規定されており、同法施行規則で注射の時期が4月1日から6月30日と規定されています。
予防注射は、飼い主の責任と自覚が第一ですが、予防注射の完全な実施と飼い主の便宜を図るため、定期予防注射は、集合方式で行われております。集合注射は、効率的に抗体保有率を高める方法として大変有効です。
しかし、集合注射を受けられなかった場合は、最寄りの動物病院で狂犬病予防注射を受けることになります。 |
| 現状 |
昭和25年に狂犬病予防法が施行され、それまで年間50名前後の狂犬病の死者が出ていましたが、
(1)飼い主の登録制度
(2)犬への狂犬病予防注射の実施
(3)輸入検疫の徹底
(4)野犬等の捕獲・処分
などの対策を講じた結果、急速に発生が減少し、昭和32年以降の発生はなく、現在は狂犬病清浄国となっています。
しかし、検疫対象外輸入動物の増加、ロシア船等からの不法上陸犬による狂犬病侵入が懸念されており、国内の犬に免疫が付与されていない場合は、動物間に広く流行する恐れがあります。WHOでは集団免疫を保持するためには、犬の接種率75%以上を勧告していますが、実際、日本では50%に満たないと言われています。
また、現在も犬による咬傷事故が多発(全国で6484件、埼玉県で323件で全国4位)しており、狂犬病予防注射が的確に実施されていないと、被害者等へのワクチンの必要性が生じ、狂犬病が発症する不安感、恐怖感の増大が予想されます。
このような状況から、日本で狂犬病が発生しないという補償はなく、現在行われている狂犬病予防対策を継続する必要があります。 |
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