猫の不思議

2012年2月9日

猫は犬とともに身近なペットの一種ですが、いつ頃どこから来たかということは意外に知られていないと思います。今回は、そんな猫のルーツをご紹介します。

その1 猫のルーツ

【1】猫が家畜化されたのはいつか?

犬は最古の家畜といわれ、今から1万5000年前ほど前に飼い馴らされたといわれています。それに対し、猫が家畜化されたのは犬よりもだいぶ遅く、紀元前100年から7000年までといろいろな説があります。

愛玩動物として猫が飼われるようになった確かな証拠があるのは古代エジプト時代で、他の主だった家畜が完全に定着したずっと後のことでした。紀元前3000年頃のエジプトは、熱帯性草原・サバンナが広がる肥沃な穀倉地帯でした。王朝文化が進展し、日干し煉瓦の家が立ち並ぶ豊かな都市生活が営まれるようになりました。すると穀倉倉庫に集まる野ネズミを狙って、ヤマネコがやってきました。そのヤマネコが長い時間をかけて次第に人に馴れ、そのうち馴れ易い子猫を持ち帰って飼い始めたのがきっかけかも知れません。

【2】猫の祖先のヤマネコとは?

現在ペットとして飼われている猫は、動物学上の分類では食肉目ネコ亜目ネコ科ネコ属イエネコと分類されており、同じネコ属のヤマネコの1亜種とされています。猫の祖先となるヤマネコは、学名フェリス・シルウェストリス(Flelis silvestris)という西アジア、アフリカ、ヨーロッパに生息したヤマネコでした。このヤマネコは生息域によって三つの亜種に分類され、アフガニスタン、アラビア半島からアフリカ(中央部の熱帯雨林地帯を除く)に広く生息する「リビアヤマネコ」、西アジアに多く生息する「インドサバクネコ」、ヨーロッパに生息する「ヨーロッパヤマネコ」の3種です。

この3種のうちリビアヤマネコが、状況証拠や解剖学的特徴からイエネコの直接の祖先であろうと言われておりましたが、決定的な証拠がなく論議の的でした。しかし、数年前イエネコとヤマネコのDNA解析が行われ、猫の祖先はリビアヤマネコであると結論付けられました。リビアヤマネコは、体長およそ55cm、尾長33cm、体重5kg程ですから、イエネコとほぼ同じ大きさで、外見も大差ありません。また、アフリカのリビアヤマネコは、現在でもスーダンの南部の民族と自然のままに共生しているそうです。

ちなみに日本に生息する絶滅危惧種のイリオモテヤマネコやツシマヤマネコは、同じネコ科ではありますが全く別属別種です。

【3】猫は家畜?

家畜とは野生動物を除いた飼育動物全般の事を言います。イヌやウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ニワトリなどは人が利用して、生産に役立つような動物となるように野生種を飼い馴らし品種改良されてきました。一方、猫はどうでしょうか。猫はヤマネコ時代とさほど習性は変わらず、人間があわせる形で共生してきました。人間は、猫をより美しく、より可愛らしくするための品種改良を行ってきましたが、イヌのような使役目的での改良はしてきませんでした。

ペットとなったネコの狩猟対象はネズミや鳥などの小動物から人へと変わりました。上手に甘えて、美味しい餌を人からもらう。この意味では、人が猫を飼い馴らしたのではなく、猫が人を飼い馴らしたと言えるかも知れません。

人間が猫と生活するようになって5000年くらいですが、これはまだイヌの3分の1にしかすぎません。品種改良が行われるようになってからも100年余りです。人間と暮らすようになって日の浅い猫には、あまり知られていないことが沢山あります。機会がありましたらまたご紹介したいと思います。

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