知っているようで知らない「牛」のお話

2016年10月3日

 

 牛という動物をご存じでしょうか?

 「そんなの知ってるよ。牧場にいる、白黒模様のあの動物でしょ?乳搾りしたり、後は…焼き肉もおいしいよね。」そうです、その牛です。

 では、次の質問に答えられますか?

 ○乳牛は雄?雌?

 ○牛乳の輸入量は?

 ○「和牛」と「国産牛」は同じ?違う?

 ○「A5ランクの牛肉」とはどういう意味?

 

 いかがでしょう、良く分からないという方が多いのではないでしょうか。
 今回のトピックスはそんな「知ってるようで知らない牛のお話」です。

 

○乳牛は雄?雌?

 正解は「全て雌」。

牛乳を搾れる乳牛は、子牛を産んだ後の雌牛だけです。本来は子牛が飲む牛乳を私達が貰っているのです。皆様が良く目にする白黒模様の牛は、ホルスタイン種という種類の牛です。この牛は特に多くの牛乳が搾れるよう改良されており、平均で1頭1日あたり25kgの牛乳が搾れます。更に、中には1日あたり約70kgの牛乳が搾れる“スーパーカウ”と呼ばれる牛もいます。ちなみに乳牛が産んだ子牛は、雌であれば乳牛として育てられますが、雄は肉牛(食肉用の牛)として育てられます。

 

○牛乳の輸入量は?

 正解は「ゼロ」。

意外だったでしょうか?日本の食料全体の自給率は39%と先進国の中では際立って低い水準にある中、私達が普段飲んでいる牛乳の自給率は100%“純国産”です。

 

○「和牛」と「国産牛」は同じ?違う?

 正解は「同じ」であり、「違う」。

「和牛」とは「肉専用種」のことで、黒毛和種・褐毛和種・日本短角種・無角種の4品種とこれらを掛け合わせた交雑種に限られます。

一方、「国産牛」とは「品種に関わらず、生涯の内、日本で飼育された期間が最も長く、日本国内で食肉用に処理された牛」のことです。例えば、国内で肉牛として育てられるホルスタイン種の雄の他、「和牛」も含まれます。ということで、「国産牛」と言った場合、「和牛」と「和牛以外の牛」が含まれるため、正解は「同じであり、違う」になります。

なお、和牛は肉専用種であり、乳用種であるホルスタイン種との肉質の違いは歴然です。その違いを明確にするために、国産の和牛は「国産和牛」と表記されることもあります。

 また、松阪牛や神戸牛、米沢牛といった名前も良く耳にすると思います。これらはいわゆるブランド(銘柄)和牛のことであり、それぞれの土地で特別に育てられた黒毛和種のことです。ここ埼玉県でも武州和牛や深谷牛などのブランド和牛が育てられています。

 

○「A5ランクの牛肉」とはどういう意味?

 正解は「歩留(ぶどまり)等級A・肉質等級5の牛肉」という意味。

 歩留等級とは1頭の牛から取れる肉の量の目安であり、Bを標準として、標準より良い(取れる肉が多い)ものをA、標準より悪い(取れる肉が少ない)ものをCとしています。肉質等級とは脂肪交雑(サシの多さ)や肉の色味・きめ等を評価したもので、1~5の5段階で評価されます。つまり、「A5ランクの牛肉」=「1頭から取れた量が多くて、サシが多くて、きめが細かい牛肉」となります。

A5が最高級というイメージがあるかもしれませんが、肉そのものの評価は肉質等級で示されますので、実際にはA5もC5も肉自体の評価は同じです。肉を選ぶ際は肉質等級に着目すると良いでしょう。

 

牛について理解が深まりましたでしょうか?

ここまで読んだ貴方はモー立派な牛博士です。

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