ミドリガメなどハ虫類のサルモネラ菌にご注意ください

2010年8月22日

○はじめに

サルモネラ菌は食中毒の原因菌として広く知られていますがペットとして飼育されているミドリガメやイグアナなどのハ虫類は高率にこの菌を保有しています。健康な普通のハ虫類が普通にこの菌を保有していて、保有している個体が特に病気という事ではありませんが、人にとってはこの菌は病原性があります。そこで、これらのハ虫類を飼育する際にはちょっと注意していただきたい事があります。

○サルモネラ菌とは

サルモネラ菌は従来から食中毒の原因としてよく知られている細菌で、通常はサルモネラ菌により汚染された肉や卵により感染します。また、サルモネラ菌は環境にも広く分布し、ウシ、ブタ、ニワトリなどには10~30%、イヌやネコで3~10%、カメなどのハ虫類で50~90%も感染しているとの報告があります。
人がサルモネラ菌を摂取した場合、12-72時間後に大部分の人は、下痢、発熱、腹痛を起こします。軽症患者は治療をせずに回復することがありますが、激しい下痢によるひどい脱水のため、重症化する場合もあります。
人での発症は抵抗力のない乳幼児や高齢者が多く、日本国内では、1975年(昭和50年)以降これまでにミドリガメ、ゼニガメによる胃腸炎を症状とするサルモネラ症が少なくとも7件報告されています。いずれも子ども又は高齢者が感染しています。
また、海外においては、カメ、イグアナ、ヘビを原因として、多数の感染事例が報告されており、胃腸炎症状に限らず、菌血症、敗血症、髄膜炎、これらに伴う死亡事例があります。

○飼育の際には

人への感染は、飼育中のハ虫類に触れたり、飼育容器を清掃する際に手や指にサルモネラ菌が付着し、これが口に入ることによりおこります。子どもは無意識に手を口に持って行くことが多いので特に注意が必要です。
飼育容器の清掃などの管理は、これらの事実を正しく理解できる分別のある人が行うべきです。
すなわち
1. は虫類にふれたり飼育容器の清掃の後は石けんで手を洗う
2. 飼育容器などを食品を扱うキッチンや食卓などに置かない
3. 感染に対する抵抗力の低いお年寄りや免疫機能が低下した方がいる家庭等では、ハ虫類を飼育するのは控えたほうが賢明。
これらの注意を守って飼育をしましょう。

○野に放さないでください

ミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)もイグアナも本来の日本固有種ではなくて外来種です。
野外へ放たれると本来の日本固有種を圧迫したり、環境破壊をしたり好ましくない影響を与えます。一時は縁日などで大量に販売されていたことから、ミドリガメは家庭で飼育されている場合も多いかと思われます。サルモネラ菌を持っているとしてもこれらの個体が悪いという事ではありません。飼育に関しての注意を守って終生の飼育をお願いします。

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