埼玉県で発生した豚コレラについて

2019年11月15日

 
 報道等で目や耳にされている方も多いと思いますが、昨年9月に岐阜県で、国内では26年ぶりに豚コレラが発生しました。その後、岐阜県、愛知県、長野県、滋賀県、大阪府、三重県、福井県にまで発生が拡大しています。そして、誠に残念なことに、令和元年9月13日(金)、埼玉県の養豚場において、豚コレラが発生してしまいました。その後、10月30日(木)までに県内では豚コレラが4例発生しています。また、県内に生息する野生イノシシでも豚コレラウイルス感染が拡がり、10月16日(水)までに9頭の豚コレラウイルス感染が確認されています。

 豚コレラと聞くと、恐ろしいイメージを持ってしまうかもしれませんが、正しい情報に基づいて冷静に行動することが大事です。今回は、豚コレラについて紹介させていただきます。

 

・豚コレラとは

 豚コレラウイルスにより起こる豚、イノシシの熱性伝染病で、強い伝染力と高い致死率が特徴です。感染豚は唾液、涙、糞尿中にウイルスを排泄、感染豚や汚染物品等との接触により感染が拡大します。治療法はなく、発生した場合の家畜業界への影響が甚大であることから、家畜伝染病予防法の中の家畜伝染病に指定されています。

 

・埼玉県内養豚場での豚コレラ発生

 

農場所在地

飼養頭数

発生日

1例目

秩父市

924頭

令和元年9月13日

2例目

小鹿野町

1307頭

令和元年9月17日

3例目

本庄市・神川町

2084頭

令和元年10月11日

4例目

本庄市

865頭

令和元年10月30日

 

・埼玉県内野生イノシシの豚コレラウイルス感染確認事例

市町村

感染確認頭数

初確認日

秩父市

6頭

令和元年9月20日

長瀞町

2頭

令和元年10月9日

本庄市

1頭

令和元年10月10日

 

・養豚場で発生した豚コレラへの対応

 養豚場で豚コレラが発生した場合、家畜伝染病予防法により、飼養している全ての豚を速やかに殺処分することが義務付けられています。

 なぜ全ての豚を殺さなければいけないのか?と疑問を持つ方もいらっしゃると思います。豚コレラが発生すると、その周辺、市町村、県内と感染が拡がり、多くの養豚場に大きな被害を与えかねません。そこで、感染拡大による被害を最小限に抑えるために、速やかに殺処分することになっています。

 

・皆様の食べる豚肉について

 先に述べたとおり、豚コレラは豚やイノシシの病気であり、人が感染することはありません。仮に感染した豚の肉を食べても体に影響はありません。また、豚コレラに感染した豚の肉が市場に出回ることはありません。

 

・最後に

 国としても、都道府県としても、豚コレラの早期収束のため、迅速に対応しております。新聞やニュースで大きく取り扱われている豚コレラですが、正しく理解し、必要以上に恐れることなく、むやみな風評被害が起こらないようにしましょう。

 また、これからの寒い時期、豚コレラと同じ家畜伝染病である鳥インフルエンザの流行が懸念されます。トピックスバックナンバーをご覧になって、鳥インフルエンザについても正しい知識を身に付けましょう。

 

関連トピックスのバックナンバー

 鳥インフルエンザの正しい知識と対応 2008.2.29
 鳥インフルエンザの正しい知識と対応Ⅱ 2013.1.23
 改めて学ぼう「鳥インフルエンザ」 2017.6.1

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