気を付けて!犬・猫に食べさせると危険です

2022年3月18日

 未だ終わりの見えないコロナ禍において、お家で過ごす時間が多くなり、ご自分が食べているときに、犬が欲しそうに見ているのであげたら、 あげてはいけないものが入っていたとか、置いておいたものを犬が食べてしまった、お家にお花でもと飾ったら猫がかじってしまい、それは猫には毒性のあるものだったなどで来院される患者さんが多くなったように思います。
 そこで、ご存じの方も多いと思いますが、今一度、よく見られる犬・猫に毒性のあるもの(場合によっては亡くなることもある)をご紹介します。

1.ネギ類(犬・猫)
 玉ネギ・長ネギだけでなく、ニラ・ニンニクも含みます。
 中毒の原因はネギ類に含まれる有機硫化物で、これは加熱・加工しても消えません。
 症状が出るには、半日~数日かかり、血液中の赤血球という細胞が壊されるため、
 血尿・黄疸・貧血などが起こります。
 ハンバーグ・ミートソース、又、カレー・シチュー・すき焼き・ネギ入りの味噌汁などの調理後ネギだけ取り除いたものも中毒を起こします。
 ガーリックパウダー・オニオンパウダーの入った加工品(冷凍食品など)も多いのでご注意ください。

2.チョコレート(犬・まれに猫)
 中毒の原因は、主成分であるカカオに含まれるテオブロミンという物質で、これはココアにも含まれます。
 症状は2~6時間後に現れ始め、神経や心臓に毒性があるため、落ち着きなくうろうろし、吐き気・下痢から震え・けいれんが起こり、大量に食べると不整脈・呼吸不全が起こります。
 マカダミアンナッツチョコレートのマカダミアンナッツも中毒を起こしますので、ご注意ください。

3.キシリトール(犬)
 キシリトール入りガムや歯磨き粉、シュガーレスと表示しているお菓子(砂糖の代わりにキシリトールを甘味料として使用している)を食べると、30~60分以内に低血糖が起こり、ふらついたり、けいれんを起こします。大量に食べると、肝臓障害を起こします。

4.アルファリポ酸(猫)
 人のダイエットやアンチエイジング用のサプリメントに含まれる成分で、猫では人や犬の1/10の量で強い中毒が起こります。
 困ったことに、猫はこの匂いが好きらしく、袋を咬みちぎってまでも食べてしまいます。
 症状は30分~数時間後に現れ始め、低血糖や肝臓障害を起こすため、よだれ・吐き気から震え・けいれんが見られます。サプリメントによって含まれている量は違いますが、たとえ一粒でも亡くなることもあります。

5.ユリ科の植物(猫)
 猫は毛玉を吐きたいときや胸やけがあるときなどに、よく植物の葉をかじります。犬・猫に中毒を起こす植物はたくさんありますが、特にユリは猫にとって大変危険で、花びら・葉・茎・花粉・さしている花瓶の水のどれにでも少量で中毒を起こします。
 原因物質はまだ明らかになっていません。
 1~6時間後によだれ・吐き気がみられ、いったん症状が治まったように見えますが、24~96時間以内に腎臓が破壊され、腎臓障害を起こします。

いずれも中毒の症状は、同じ量を食べても個体差があるため、直ちに何時に何をどれくらい食べたかわかる方が、商品であればそのパッケージを持って動物病院を受診してください。
(現在、コロナウイルス感染対策で予約診療の病院が多いため、事前に電話連絡をしてからの受診をお勧めします。)

その他にも、お菓子の袋に入っていた乾燥剤や防腐剤を食べてしまったり、リンゴやキャベツの芯を大きいまま飲み込んでしまったりなど、一緒に生活していると思わぬアクシデントがありますが、犬・猫に危険なものは届かないところに置いたり片付けるよう気を付けていただきながら、お家時間を一緒に楽しくお過ごしください。

 

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