高齢になるとよく見られる猫の病気

2015年9月25日


 猫が7歳くらいになると、それは人の40歳台半ばの年齢にあたり、高齢に伴う病気もだんだんと見られるようになってきます。
 ここでは、高齢の猫によく見られる病気を5つ取り上げ、それらの病気について症状と早期発見の仕方を中心に解説します。

1.   歯周病
  歯周病の主な症状は、口臭が強くなる、歯に何かが挟まったかのように口を痛が
 る、よだれが出る、ほおやあごが化膿して腫れる、歯が抜けるなどです。この病気
 は、蓄積した歯垢や歯石中の細菌が、歯肉や歯を支えるあごの骨などに感染して炎症
 を起こし、組織を破壊することで生じます。

  一度、あなたの猫の口の中を見てみましょう。歯が黄色や茶色をしていたらきっと
 歯石が付いています。また、歯肉が赤ければ歯肉炎の疑いがあります。これらの様子
 が見られたら、大事に至る前に早めに獣医師に相談し、適切な処置を受けましょう。

2.   慢性腎臓病
  高齢の猫では特に多い病気です。腎臓の働きが徐々に低下して、多飲多尿(水を飲
 む量と尿量が増えること)を起こす、痩せてくる、吐きやすくなる、食欲が落ちるな
 どの症状が見られます。この病気は、ふつう数か月から数年かけてゆっくり進んで行
 くので、途中で具合が悪いことに気が付きにくく、異常に気付いた時は、病状はかな
 り悪化しているということが多々あります。

  腎臓病の診断は、尿、血液、エコー検査などで行います。高齢の猫では、元気そう
 でも定期的にこれらの検査を受けておくと病気の早期発見に役立ちます。

3.   糖尿病
  糖尿病になるとふつう多飲多尿が見られますが、初期には元気もあって、食欲はむ
 しろ増えるので、あまり病気らしくは見えません。
  しかし、経過とともに、体重はだんだん減って行き、次第に元気食欲もなくなって
 行きます。時には後ろ足の神経が麻痺して、歩きづらくなることもあります。さらに
 進行するとケトアシドーシスと言って体液が酸性に傾いて、昏睡などの命にかかわる
 症状が出ることもあります。

  糖尿病の初期からみられる多飲多尿や多食は、早期発見の手がかりになります。こ
 れに気が付いたら早めに診察を受けるようにしましょう。
  若い頃から肥満している猫は、糖尿病になりやすいのでより注意が必要です。

4.   甲状腺機能亢進症
  首の付け根にある甲状腺からホルモンが過剰に出るためにおこる病気です。このホ
 ルモンは猫の活力を増す働きがあり、この病気になると元気や食欲は活発になります
 が、たくさん食べても太ることなく痩せてくるのが特徴です。同時に、嘔吐が増えた
 り、多飲多尿が見られたり、怒りっぽくなったりすることもあります。心臓や腎臓に
 も負担がかかり、治療をしないと体重は減り続け、ついには元気や食欲もなくなって
 しまいます。

 「うちの子は痩せているけど、元気、食欲は一杯だよね。」という猫がいましたら、
 この病気を起こしている可能性もありますので、一度、健診を受けることをお勧めし
 ます。

5.   乳腺腫瘍
  めす猫の乳にできる腫瘍です。猫の乳は、わきの下から後ろ足の付け根にかけて左
 右4つずつあります。この病気は、猫を抱っこしたときなどに偶然、乳のしこりに気
 づいて発見されることが多いです。
  ただ、その時、猫は元気で普段と変わらないため、飼い主さんはこれを大事と受け
 取らず、様子を見てしまうことが少なくありません。しかし、このしこりは、多くの
 場合、悪性のものですので、様子を見ている余裕は本来ないのです。

  早期発見には、普段から乳をなでて、しこりがないかチェックするとよいでしょ
 う。不妊手術をしていない猫では、若い時に手術をした猫よりも本病気になりやすい
 ので、特に注意をして見て行きましょう。

 以上のように5つの病気を見てみると、多飲多尿が、慢性腎臓病、糖尿病、甲状腺機能亢進症の3つに共通してあり、多食が、糖尿病、甲状腺機能亢進症の2つに共通してあります。多飲多尿や多食は、元気な猫にあっても異常とは気づきにくいですが、病気の重要なサインですので、見逃さないようにしましょう。

 

 

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