麻薬取扱者の免許

平成18年3月23日の麻薬、麻薬原料植物、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令の一部改正により、塩酸ケタミンが新たに麻薬に指定されました。法施行準備期間が満了する平成19年1月1日以降に当該薬品を使用する場合は、あらかじめ麻薬施用者、麻薬研究者などの免許を取得しなければならず、麻薬指定後の記録、保管、届出などの管理義務が発生します。

診療施設での麻薬免許の種類

獣医師が診療に麻薬を取り扱う際必要となる麻薬免許には、麻薬施用者免許と麻薬管理者免許があります。

1.麻薬施用者免許

(1)獣医師が疾病治療の目的で業務上麻薬を施用するために必要となる。
(2)個人に与えられる免許であり、免許人以外は麻薬を取り扱えない。
(3)免許証に記載された診療施設以外では麻薬の施用ができない(免許証に記載されていれば複数の診療施設で麻薬の施用ができる)。
(4)都道府県知事ごとの免許なので、都道府県を異にする2カ所以上の施設で麻薬施用者になるためには、それぞれの都道府県知事から免許を受けなければならない。
(5)有効期限は免許を受けた日から翌年の12月31日までである。

2.麻薬管理者免許

(1)麻薬施用者が2名以上いる施設では、常勤の獣医師1名が麻薬管理者免許を取得する必要がある。麻薬施用者が1名の場合、麻薬管理者を設置する必要はない。
(2)麻薬管理者はその施設の麻薬管理義務(保管、譲り受け、廃棄、帳簿の記載等)を負う。麻薬施用者が1名だけの施設で麻薬管理者をおく必要はないが、麻薬施用者自らが麻薬を管理しなければならない。
(3)麻薬施用者免許と同様、有効期限は免許を受けた日から翌年の12月31日までである。

麻薬取扱者免許の申請窓口

各保健所の生活衛生・薬事担当(さいたま市内の方は鴻巣保健所、川越市
内の方は所沢保健所となりますのでご注意下さい)

免許の申請に必要なもの

(1)申請書
(2)医師の診断書
(3)手数料4200円
(4)受付時に獣医師免許証(原本)の提示が必要です。

*麻薬取扱者免許に関する各種申請書は埼玉県のホームページからダウンロードできます。

麻薬取り扱いに係る諸届け等

1.免許証の記載事項の変更届(法第9条)
診療施設の所在地・名称の変更、麻薬取扱者の住所・氏名の変更、麻薬施用のための従たる診療所の追加、削除などの場合。
2.業務廃止届け(法第7条)
麻薬施用者(管理者)が麻薬に関する業務を廃止したり、その前提となる資格を失った場合。
3.免許証の返納(法第8条)
免許証の有効期間が満了した場合。
4.免許証の再交付(法第10条)
免許証を紛失したり、き損した場合は、「免許証再交付申請書」による免許証の再交付が必要。
5.麻薬診療施設でなくなった場合の届出(法第36条)
診療施設の廃止届けを提出した場合、麻薬施用者が一人もいなくなった場合には、業務廃止及び所有する麻薬の数量等の届出が必要。所有する麻薬は、廃棄又は譲渡の手続きが必要。
6.麻薬管理者(施用者)の年間届(法第48条)
麻薬管理者(麻薬管理者のいない麻薬診療施設にあっては麻薬施用者)は、毎年11月30日までに、麻薬の所持、譲受、施用状況等に関する届出が必要。

麻薬の施用・交付・麻薬処方箋の交付にあたって必要な事項

1.麻薬を処方する際の注意事項
(1)疾病の治療目的以外の麻薬の施用・交付・麻薬処方箋の交付の禁止
(法第27条)
麻薬施用者は、疾病の治療以外の目的で麻薬の施用・交付・麻薬処方箋の交付をしてはならない。
(2)封がされたままの麻薬の施用のための交付の禁止(法第30条)
麻薬施用者は、政府発行の証紙で封がされているままで麻薬を施用のため交付してはならない。
(3)当該麻薬施設で管理されている以外の麻薬の施用・施用のため交付の禁止(法第33条)
麻薬施用者は、当該麻薬施設で管理されている以外の麻薬を施用・施用のため交付してはならない。
2.診療簿への記載(法第41条)
麻薬施用者が麻薬を施用、施用のため交付又は麻薬処方箋を交付したときは、獣医師法の規定による診療簿に定められた事項を記載することが必要。
3.麻薬処方箋への記載(法第27条)

麻薬の管理に当たって必要な事項

1.麻薬卸売業者からの譲受(法第32条)
麻薬卸売業者には麻薬譲受証を交付し、麻薬卸売業者からは麻薬譲渡証の交付を受けることが必要。麻薬譲渡証は2年間保存することが必要。
2.麻薬の保管(法第34条)
飼育動物診療施設で管理する麻薬は、施設内に設けた鍵をかけた堅固な設備に保管することが必要。
3.麻薬帳簿の記帳及び保管(法第39条)
麻薬管理者(麻薬管理者のいない麻薬診療施設にあつては麻薬施用者)は、飼育動物診療施設に帳簿を備え付け、定められた事項を記載することが必要。使い終わった帳簿は2年間保存することが必要。
4.麻薬の廃棄(法第29条,第35条) 
麻薬を廃棄しようとする場合、麻薬の品名及び数量並びに廃棄の方法について都道府県知事に届け出て、当該職員の立会いの下に行わなければならない。麻薬処方せんにより調剤された麻薬を廃棄したときは、都道府県知事に届出ることが必要。
5.麻薬の事故届(法第35条)
麻薬管理者又は麻薬施用者が管理している麻薬に減失(破損、蒸発、流出等による回収不能な事例を含む)、盗取、所在不明その他の事故があった場合は、都道府県知事に届出ることが必要。