災害に備えて-平常時のペットの人獣共通感染症対策

2019年11月15日


 今年も国内では、地震や台風などの災害が相次いでみられ、いつ急に避難所生活を
余儀なくされるかわからない状況です。

 避難所では、ペットも人も密集して暮らさなければならなくなり、慣れない環境での
生活によるストレス下では体力の衰えや衛生環境の悪化により、感染症が流行する可能
性が高くなります。
 人と動物の間でうつる感染症を人獣共通感染症と言い、災害の時に起こりうる人獣共通
感染症とその平常時に行っておいていただくとよい対策(予防)について、いくつかご紹
介します。

 

・狂犬病
 感染している犬やその他の動物(アライグマ・キツネ・コウモリなど)に咬まれることに
より感染するウイルスの感染症です。発症するとほぼ100%死に至る怖い病気です。
 国内では、過去に流行しましたが、狂犬病予防法により犬へのワクチン接種が義務化され、
1957年以降発生はありません。しかし今も世界中で毎年5万人以上の人が狂犬病でなくなっています。
 昨年26年ぶりに国内で発生した豚コレラ(人には感染しません)のように、いつ海外から
入り込み感染の拡大がみられるかわかりませんので、法令に定められているように、
年1回の狂犬病ワクチン接種を忘れずに受けておいてください。
(埼玉県獣医師会ホームページ 活動案内 狂犬病予防対策 もご覧ください)


・レプトスピラ症
 人も犬もレプトスピラ菌に感染したネズミの尿で汚染された水や土に接触して感染します。
 人では、頭痛、発熱、肝・腎障害をおこします。最近は都市部でもネズミが増えているの
で、水害の後の流行が心配されます。犬には、他の感染症と一緒になった混合ワクチンが
ありますので、接種しておいていただくことをお勧めします。

 

・猫ひっかき病
 バルトネラ菌に感染している猫に引っかかれたり、咬まれたりすることで感染します。
 人では、その近くのリンパ節が腫れます。
 災害時には、動物が興奮したり、恐怖心から攻撃的になりやすいので注意をしてください。
 猫は、この菌を持つノミから感染しますので、外に出る猫を飼っている方は、日頃から
ノミの寄生を防ぐため、定期的な駆除薬の投与をお勧めします。
 また、ノミは春から夏にかけて繁殖が盛んですので、避難所など動物の密集しているところ
ではあっという間に感染が拡大していきます。バルトネラ菌を持っていないにしても
人が刺されますと強いかゆみが起こり、中にはノミアレルギーを起こす方もいます。
 猫を室内飼いしている方も、猫用の避難用品にノミの駆除薬を加えておいていただくことを
お勧めします。
 駆除薬は、1か月又は3か月効果が持続するスポット剤(首筋にたらす)や、1か月効果の
持続する飲み薬があります。

 

・重症熱性血小板減少症(SFTS)
 SFTSウイルスを持つダニに人が直接咬まれて感染したり、ダニに咬まれて感染した犬・
猫の唾液を介して人に感染します。
 人では、発熱、消化器症状、皮下出血、下血などの出血症状を示します。
 2013年に国内で初めて報告された新しい感染症で、西日本での報告が多いのですが、
ウイルスを媒介するフタトゲチマダニは埼玉県内にも生息するダニであるため、ダニの
発生のみられる地域では、犬や猫に日頃より定期的な駆除薬の投与をお勧めします。
 ノミと一緒にダニも駆除できるスポット剤や飲み薬があります。 

 以上、いざ災害時に動物から人へ感染症を蔓延させないためには、何か特別なことでは
なく、日頃行っていただいている予防が大切になります。
 よく、「毎年この予防必要あるの?」と聞かれることがありますが、いざという時のために
予防をよろしくお願いします。

 今回ご紹介しきれなかった人獣共通感染症に興味のある方は、
「東京都福祉保健局 人と動物の共通感染症一覧」をご覧ください。

 

関連トピックスのバックナンバー

 もしもあなたが動物と避難することになったら 2011.10.11
 人獣共通感染症について 2017.3.29
 SFTSにご注意を! 2017.12.4

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