狂犬病

狂犬病は狂犬病ウィルスの感染によって引き起こされる、代表的な人獣共通感染症です。狂犬病ウィルスは、狂犬病に感染した動物の唾液中に含まれ、動物に咬まれて感染します。現在までアフリカで5種類の、オーストラリアで1種類の狂犬病類似ウィルスが発見されています。この病気はほとんどすべての哺乳動物に感染し、致死的な脳炎を引き起こすため発病すればほぼ100%死亡する病気です。幸いなことにわが国では昭和32年以後発症がありませんが、海外では現在も多くの国で狂犬病が流行し、年間3.5万〜5.5万人もの人が命を落としています。

犬の症状

目的もなく動き回ったり、吠えたりするようになり、次いで、目に入るものは何でも咬みつくようになります。また、喉が麻痺するために食べ物や水を飲み込めなくなることもあります。そして、立ち上がって歩くことも困難となり、やがてこん睡状態になり死亡します。

人の症状

1~3ヶ月の潜伏期の後に発熱、食欲不振、咬まれた傷の痛み、知覚異常が現れ、やがて、水をのもうとすると喉の痙攣発作がおこるようになり、飲水が不可能となります(恐水症)。続いて、高熱、幻覚、錯乱、麻痺などさまざまな神経症状を起こし、さらに、全身痙攣が現れ昏睡になり、この後、呼吸困難、血圧低下などを起こし、死にいたります(脳炎)。

世界の狂犬病の発生の現況

日本、英国、台湾、ハワイなどの島国やスカンジナビア半島の国々など一部地域を除いて全世界に発生しています。
アジア、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ地域の多くの国で、犬や家畜、野生動物に発生しており感染動物に咬まれた人のうち毎年3.5万〜5.5万人が命を落としています。
発生の大部分はアジアであり、犬が人への感染源になるケースが多いです。

国内における人の狂犬病感染例

国内では、人は1954年を最後に発生がありません。また、動物では1957年を最後に発生がありません。現在、日本は狂犬病の発生のない国です。
しかし、輸入感染例としては、昭和45年にネパールで犬に咬まれ帰国後に発症した例が1例、平成18年にフィリピンで犬に噛まれ帰国後発症した例が2例あります。
世界各地(特にアジア地域)では、狂犬病が蔓延しています。
狂犬病流行地域に渡航される方は、渡航中に狂犬病に感染しないように、以下のことについてご注意ください。

滞在中にむやみに動物(犬だけに限らず)に手を出さない

万一滞在中に犬などに噛まれたら、すぐに傷口を石鹸水でよく洗い、現地の医療機関に受診し、傷の手当てと同時に狂犬病のワクチン接種*を受けましょう。

*海外でワクチン接種を受けた際に、そのワクチンのラベルを持ち帰ってください。それが無理な時には、ラベルの内容を書き写してきてください。この情報は帰国してからワクチン接種をする上で、大変重要な情報となります。

検疫所(健康相談室)への申し出

帰国時に必ず検疫所(健康相談室)に申し出てください。

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