宮崎県での口蹄疫防疫活動について -体験談を含む報告-

2010年10月19日

○はじめに

今年4月、宮崎県の県央部を中心として、10年ぶりに口蹄疫が発生しました。
報道等で御存じのとおり、口蹄疫は非常に強い感染力があり、恐るべき速さでまん延しました。
最終的な被害は、まん延を防止するために、ワクチンを接種した後に殺処分された頭数も含めると、牛約68,000頭、豚約220,000頭に上ります。
これは、埼玉県の牛約35,200頭、豚約138,900頭の飼養頭数を大きく上回る数であると言えば、その被害の甚大さがお分かり頂けるでしょうか?
この未曽有の事態に対応するため、全国から集まった、獣医師、畜産関係者、自衛隊及び警察関係者等が、宮崎県で防疫作業に従事しました。
もちろん、埼玉県獣医師会の会員である獣医師も宮崎県で防疫活動に参加しています。
今回は、宮崎県で防疫作業に従事した獣医師の活動報告や、感想等を紹介します。

○宮崎県での活動例・・・

朝、7時~7時半頃、宿泊しているホテルからバスで出発。

現地の町役場に到着。その日、防疫作業を行う農場の指示等を受ける。
防疫服への着替え等の準備を行う。再びバスで、実際に防疫活動を行う農場に向かう。

発生農場に到着。農場内では大きく獣医、保定、消毒、埋却の4グループに割りふられて、獣医と保定担当が一緒に殺処分を実施。
家畜を殺処分する作業は、獣医師が行う。

殺処分が終了したら、たい肥や敷き料等の搬出、農場の消毒、埋却を行いますが、消毒や埋却は専門のチームが行うことが多い。

1日の防疫作業が終了したら、全身を消毒後、下着まで交換してから農場を出る。

町役場に戻る。建物に入る前に靴底の消毒、手洗い、うがい、再度靴底の消毒を行う。役場の中でシャワーを浴びる。

19時頃、ホテルに帰還。再度、シャワーを浴びて、全身を洗浄する。

夕食を摂り、就寝。

○ある派遣された獣医師の感想・・・

農場での感想

「農場主の方々の対応は、まったく姿を現さない方、遠くから様子を見ている方、そして作業に協力してくださる方等、さまざまでした。
農場主の方との対応の中で、一番つらかったのは、朝、農場に着いた時、「今日は、よろしくお願いします」と言われた時でした。
今日、全ての家畜が殺処分されてしまうと分かっているはずなのに、農場全体がきれいに掃除されている。餌入れには、一番おいしい餌が入れてある。
そんな、明らかに大切に飼ってきた家畜を処分しに来た人間に、深々と頭を下げる。
いっそ、非難を浴びせてくれた方が楽だと思いました。」

猛暑の中で

「口蹄疫のまん延を防止するため、農場での作業中は防疫服を2枚重ねの着用でした。
通常、防疫服は気密性を高めてあるため、1枚だけの着用でも、真冬で30分動けば、汗ばんできます。
それを、南国宮崎の5~6月、しかも今年の猛暑の中、行ったのです。その暑さたるや、尋常ではありませんでした。
農場には、熱中症の防止のため、大量のスポーツドリンクが用意され、1日に10数本飲んだこともありますが、余りに大量の汗をかくため、ほとんどトイレに行きませんでした。」

 

○終わりに

今回の口蹄疫は、8月27日に「終息宣言」がなされ、4カ月におよぶ防疫活動は終了しました。
現地では今も、復興に向けた懸命の努力が続けられています。
しかし、口蹄疫は日本の近隣諸国で発生が続いており、またいつ国内で発生してもおかしくありません。
今回のような大きな被害を出さないために、官民問わず、獣医師に求められる役割と責任は、ますます重くなっています。
最後に、犠牲となった約290,000頭の牛豚に哀悼の意を捧げさせていただいくとともに、1日も早い宮崎県の復興を祈念し、終わります。

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