狂犬病の予防注射について

2020年12月14日

 私たち埼玉県獣医師会の獣医師の活動の一つに、市町村と協力のもと毎年4月から6月に行っている集合狂犬病予防注射(集合注射)があります。

 しかし、今年は新型コロナウイルスの感染拡大により4月7日に緊急事態宣言が発令され、埼玉県内でも多くの市町村で集合注射の中止や延期を余儀なくされました。

 そのため、今年の6月末日までの集合注射での接種頭数は、昨年の12.7%にとどまりました。
 緊急事態宣言後は、新型コロナウイルス感染予防対策を取りながら各動物病院での個別接種に努めてまいりました。

 その様な中、5月22日には、フィリピンからの入国者が国内で狂犬病を発症し、6月13日に亡くなるという報告があり不安に思われた方もいらっしゃると思います。これは、昨年9月にフィリピンで犬に咬まれたことが原因と考えられています。

 

以下、狂犬病について、簡単に説明させていただきます。

 狂犬病は、すべての哺乳類が感染するウイルスの伝染病です。
 いまだに治療薬は開発されておらず、発症したらほぼ100%死亡します。
 通常、人から人への感染はなく、感染している犬・猫・キツネ・アライグマ・コウモリなどに咬まれることで、ウイルスが唾液から体内に侵入します。
 発熱や食欲不振、強い不安感などの初期症状から、ウイルスが脳に達すると麻痺や錯乱などの神経症状を呈し、昏睡状態となり、呼吸障害により死亡します。
 過去には日本でも感染している犬から人へと感染が流行し、1923年から1925年には、犬も9,000頭が死亡し、人は1920年代には年間3,500人が亡くなっていました。
 日本では1950年に「狂犬病予防法」が公布され、犬に狂犬病予防注射が義務付けられたことにより、1956年を最後に国内での感染例はありません。そのためあまり身近に感じられないかもしれませんが厚生労働省の発表では、日本のように国内にウイルスの存在しない国(清浄国という)は、オーストラリア・アイスランド・ニュージーランド・ハワイ・グアム・フィジー諸島のみで、この地球上で今でも10分間に1人、年間で5万人の命が失われています。

 又、「狂犬病予防法施行規則」には、「犬の所有者は、所有する犬について、毎年4月1日から6月30日までの期間に、予防注射を受けること。」されています。

 厚生労働省は、6月11日「今年は新型コロナウイルス感染症の発生または蔓延の影響によるやむを得ない事情(緊急事態宣言の発令に伴う外出自粛、動物病院の混雑による3密防止等)により6月30日までに予防注射ができなかった場合は、7月以降(遅くとも12月31日まで)に予防注射を行うことも可能とする。」と規則の一部を改正する対応を行いました。

 これは、過去には、2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震の発生によるやむを得ない事情に続いての措置となります。

 来年は、オリンピック・パラリンピックが開催され世界中からたくさんの人々を迎えることになります。狂犬病の発生を事前に阻止して、安心して日本に来ていただくためにも、飼い犬の狂犬病予防注射がお済みでない方は、12月31日まで動物病院で接種を行うことができますので、よろしくお願いいたします。

 

 又、動物病院に行かれる際には、待合室での混雑を避けるため予約制になっている動物病院もありますので電話をするなどして確認していただくと良いかと思われます。

 

(参考)・埼玉県獣医師会ホームページ(www.saitama-vma.org/
     活動案内 狂犬病予防対策
    ・厚生労働省ホームページ(www.mhlw.go.jp/index.html
     動物を飼育する方向けQ&A

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