鳥インフルエンザの正しい知識と対応

2008年2月29日

 

冬は、鳥インフルエンザが心配となる季節です。風評被害に惑わされることなく、正しい知識を身につけ、適切に対応しましょう。

 

正しい知識編

 

高病原性鳥インフルエンザ(highly pathogenic avian influenza:HPAI)とは?

(1)鶏やアヒルなどの鳥類が、A型インフルエンザウイルスに感染して起こる病気を「鳥イン
 フルエンザ」と言います。我が国では、鳥インフルエンザのうち、H5及びH7の血清亜型のウ
 イルスと、それ以外で鶏などに特に重い症状を引き起こすウイルスによるものは高病原性鳥
 インフルエンザ(以下「HPAI」)と定めています。
 HPAIに罹った鶏は、突然死、神経症状、呼吸器症状や下痢などが見られます。
(2)インフルエンザウイルスは通常の消毒薬や75℃、1分間の加熱によって感染性は失われま
 す。

人への感染は?

(1)鶏卵や鶏肉を食べての感染
  我が国の現状においては、食品としての鶏肉や鶏卵を食べることによって、ヒトに感染し
 たという事例の報告はありません。このウイルスは、熱に弱く調理の際に適切な加熱を行え
 ば死滅します。
(2)鳥からヒトへの感染
  鳥からヒトへの感染はめったに起こりませんが、2003年以降、海外では、アジアを中心に
 393人の感染症例の報告があり、うち248人が死亡しています。(2009年1月現在)
  これらの感染事例では、病鶏の羽をむしったり解体する作業や感染した鶏の世話をしたな
 ど、日常的に鶏と密着して生活している機会が多い場合に起こります。
(3)ヒトからヒトへの感染
  現在、アジアを中心に流行しているH5N1亜型については、ヒトからヒトへ感染したと疑わ
 れる事例が報告されています。これらは、いずれも家族内で感染したと考えられています。
  従って、濃厚である程度の期間持続する接触があれば感染が起こりうると考えられていま
 す。
  しかし、これまでのところ持続的にヒトからヒトへ感染した例は確認されていません。

感染経路

(1)海外からの侵入経路
  渡り鳥等の野鳥を介しての侵入が主体と考えられています。特にカモなどの水禽類は、無
 症状で糞便中にたくさんのウイルスを排泄することから、国内でのHPAI発生の原因のひとつ
 と考えられています。
  また、輸入鳥類(家きん、愛玩鳥等)、発生国からの肉や卵の輸入、発生地からのヒトが
 持ち込む等の可能性があります。
(2)農場への侵入経路
  野鳥やネズミ、衛生害虫がウイルスを持ち込む可能性が高いと考えられていますが、感染
 鶏の導入、汚染器材・車両等の使用、人を介しての侵入等も考えられています。

発生状況

(1)我が国での発生
  平成16年:山口、大分、京都の5農場に発生。(我が国では79年ぶり)
  平成17年:茨城、埼玉の41農場で約578万羽に発生
  平成19年:宮崎、岡山の4農場で約17万羽に発生
  ※ 平成20年:青森県、秋田県、北海道でオオハクチョウからHPAIウイルスを確認
(2)世界での発生
  アジア、ヨーロッパ、アフリカ等で発生の報告があり、平成21年1月2日現在、発生が見ら
 れている58の国・地域からの鳥、卵、鶏肉等の輸入を停止しています。

発生防止対策

(1)家畜保健衛生所による巡回指導と検査
 ア 家きん※飼育農家への立入と異常鶏の有無の確認及び侵入防止対策指導
 イ 広報誌などによる家きん飼育農家への本病の最新情報の提供及び啓発
 ウ 抗体検査
 (ア) 毎月:抽出した9戸の養鶏場の各10羽
 (イ) 年1回:100羽以上を飼養する家きん飼育農家
 エ 発生時の防疫マニュアルの整備と訓練
(2)養鶏場への指導等
 ア 死亡家きん数の報告:毎月1回、100羽以上を飼養する養鶏場から、家畜保健衛生所へ報
  告。
 イ 健康観察と異常鶏発見時の早期通報:HPAIのまん延を防止するため、家きん飼育農家に
  早期通報を要請。
 ウ 家きん舎への野鳥の侵入防止:防鳥ネットの設置や補修について指導。
 エ 消毒の実施:踏み込み消毒槽の設置や石灰の塗布等を指導。
 ※家きん:鶏、アヒル(合鴨を含む)、うずら、ダチョウ、ホロホロチョウ、キジ及び七面
  鳥

 

切な対応編

 

※飼っている鳥、野鳥が死んでいるのを見つけた場合等について

鳥を飼っている方の留意点について
国内で鳥インフルエンザが発生したからといって、直ちに家庭等で飼育している鳥が感染するということはありません。
清潔な状態で飼育し、ウイルスを運んでくる可能性がある野鳥が近くに来ないようにし、鳥の排せつ物に触れた後には手洗いとうがいをしていただければ、心配する必要はありません。
飼育中の鳥を野山に放したり、処分するようなことはせず、冷静に対応下さいますようお願いいたします。

飼っている鳥が死んでしまった場合について
鳥は生き物ですから、人と同じようにいつかは死んでしまいます。そして、その原因も様々ですから、鳥が死んだからといって直ちに鳥インフルエンザを疑う必要はありません。鳥インフルエンザにかかった鶏は、次々に死んでいくということが知られていますので、不安な場合はお近くの獣医師、家畜保健衛生所又は保健所にご相談下さい。

野鳥が死んでいるのを見つけた場合について
野鳥も飼われている鳥と同じように、様々な原因で死亡します。飼われている鳥と違って、エサが取れずに衰弱したり、環境の変化に耐えられずに死んでしまうこともあります。
また、野鳥は、鳥インフルエンザ以外にも様々な細菌や寄生虫を持っていたりします。野鳥が死んだ場合には、鳥インフルエンザだけでなく、こうした細菌や寄生虫が人の体に感染することを防止することが重要です。
野鳥が死んでいるのを見つけた場合には、細菌や寄生虫に感染しないよう、死亡した鳥を素手で触らずにビニール袋に入れてきちんと封をして廃棄物として処分することも可能です。このような場合に直ちに相談していただく必要はないと考えられますが、不安な場合には、市町村、獣医師、環境管理事務所にご連絡下さい。
万一、野鳥が密集して死んでいる場合には、毒物などを食べて死亡したことも疑われます。この場合には、事件の可能性もありますので、警察、環境管理事務所にご連絡下さい。

学校で飼育されている鳥について

学校で飼育されている鳥についても「家庭等で飼育している鳥」と同様、鳥インフルエンザに感染する可能性は大変低いと思われます。
清潔な状態で飼育し、ウイルスを運んでくる可能性がある野鳥が近くに来ないようにしましょう。鳥の排せつ物に触れた後には手洗いとうがいをしていただければ、心配する必要はありません。

なんらかの原因で鳥が死んでしまった場合にも上記の「飼っている鳥が死んでしまった場合について」に準じて処理をお願いします。

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