O157などの腸管出血性大腸菌による感染症(食中毒)

2013年7月10日

2012年 8名死亡 北海道 白菜の浅漬けによる腸管出血性大腸菌の集団食中毒

2011年 5名死亡 富山県および福井県 焼肉やユッケによる腸管出血性大腸菌の

      集団食中毒

2005年 1名死亡 大阪府 児童福祉施設

2002年 9名死亡 栃木県 病院と隣接した老人保健施設 昼食に提供された和え物

      から腸管出血性大腸菌が検出

1998年 3名死亡 山口県 特別養護老人ホーム 給食に提供されたサラダから腸管

      出血性大腸菌が検出

1990年 2名死亡 埼玉県 幼稚園における井戸水を原因とした集団発生事件

 

1 腸管出血性大腸菌

 腸管出血性大腸菌による感染症(食中毒)は、毎年のように発生しており、重篤な症状を示して死に至る事例が多数見られます。この菌は、ベロ毒素と呼ばれている毒素を産生する大腸菌のことで、O157だけではなくてベロ毒素を産生する能力のあるO26、O111、O128、O145等でも同じ様な症状を引き起こします。

 腸管出血性大腸菌感染症は、多くの場合、べロ毒素産生能力のある大腸菌で汚染された食物などを経口摂取することによって発生します。一般の食中毒原因菌の場合は10万~100万個以上の菌を食べないと発症しませんが、腸管出血性大腸菌はわずか50個程度の菌数で発症すると言われており、そのため、人から人への二次感染も生じやすく問題となります(糞口感染)。

 ところで、腸管出血性大腸菌(O157 及びO26)は、牛にはある程度の割合で保菌されている事が知られています。しかし牛では発症せず、このため農場からの病原菌排除を困難にしています。また、牛肉等の汚染を調査した成績によると、ある程度の割合で腸管出血性大腸菌に汚染された食肉が見つかっています。

 

2 腸管出血性大腸菌感染症の症状

 症状は、種々の症状を呈します。普通は、3~5日の潜伏期の後、激しい腹痛、頻回の水様便の後に、血便となる症状が見られます。軽度の発熱(37℃台)を伴い、初期には血液の混入は少量の血便を呈しますが、重症例では便成分の少ない血液そのものという状態になります。発症者の6~7%において、下痢などの初発症状発現の数日から2週間以内に、溶血性尿毒症症候群、または脳症などの重篤な合併症が発生します。溶血性尿毒症症候群を発症した者の致死率は1~5%と言われています。

 

3 感染した場合の対処方法

 このような食中毒症状を認めたら、ただちに医療機関を受診してください。

 素人判断で、下痢止めなどを服用しないほうがよいと言われています。無理に下痢を止めると腸内に腸管出血性大腸菌を閉じ込め増殖させ、その結果ベロ毒素を大量に産生させるため、症状を悪化させることにもなる可能性があると言われています。

 

4 感染予防策

 基本的には、食中毒の予防の基本を順守することが重要で、言い換えれば基本を守ればこの菌による食中毒は予防できると言われています。

(1) しっかり加熱調理してください。
 菌を死滅させる温度の目安は最低75℃1分間以上の加熱処理ですが、常に温度を計って調理しているわけではないので、100℃を目指して調理するのが無難です。生肉や肉を生焼けで食べる料理は、なるべく避けたほうが安全です。また、焼肉やバーベキュー等、自分で肉を焼きながら食べる場合は十分加熱し、さらに肉を焼く時の取り箸、トング等は専用のもの使うようにしてください。食べ物への間接的な汚染を防止する注意が必要です。
   特に、若齢者、高齢者、抵抗力が弱い方は、重篤化することがありますので、生肉や加熱不十分な肉料理を食べないようにしてください。

(2) 加熱直後に食べてください。
  調理で大部分が死んだとしても一部の菌が生き残っていることも考えられるので、保存中にこれが再増殖して食中毒を起こす可能性があります。

(3) まな板、包丁、ふきん、手などを介した2次汚染の可能性にも注意が必要です。
   肉など食品材料には普通注意をしますが、原材料中の食中毒菌がまな板や手を介して調理済み食品を汚染することで食中毒を起こしたケースも多いので、注意が必要です。

(4) よく洗い流してください。
   非加熱のまま食べる食材(サラダなど)も原因食品として疑われた場合もあります。サラダなどを加熱調理するわけにいかないので、生食用の野菜は流水でよく洗い、できるだけ汚染している菌を洗い流すことにより、発病に至る菌数以下にすることができると言われています。

(5) 糞好感染
   特に、O157感染者の下痢便中には多量の菌が含まれているので、排便の後始末は注意が必要です。子供の場合は手洗いも不十分になりやすく、二次感染の原因となりやすいので注意をしてあげてください。家庭で子供の看護をする場合には一般的な手洗いに加えて、消毒剤も使用してください。また、発症者が触った所も(特に便所まわり)の消毒も必要です。汚染が考えられる患者の下着は、数分間の煮沸や、消毒剤に漬けるなどの処理した後に洗濯してください。

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