埼玉県で発生した豚熱について-その2-

2020年12月24日

 昨年の同時期に本トピックスで「埼玉県で発生した豚コレラについて」と題して、県内の発生事例等を御紹介しました。
 家畜伝染病予防法が改正され、病気の名称が「豚コレラ」から「豚熱」に替わりましたが、今回は続編としてその後の状況を紹介させていただきます。

・埼玉県における発生概要
 昨年のトピックスで紹介したとおり、豚熱が発生した場合、家畜伝染病予防法に基づき、その養豚場で飼養している全ての豚を速やかに殺処分する必要があります。
 昨年の寄稿時点では4例目までの発生でしたが、残念なことにその後1例の発生があり、最終的に県職員等計3,196人を動員し7,612頭の豚を殺処分しました。

 表 発生状況一覧

発生順 発生日 市町村

殺処分

頭数

防疫措置

動員数

防疫対応

終了日

1

令和元年

9月13日

秩父市 924頭 570人 10月16日
2 9月17日 小鹿野町 1,307頭 591人 10月19日
3 10月1日

本庄市

上川町(関連農場)

2,234頭 969人 12月1日
4 10月30日 本庄市 994頭 392人 12月1日
5 11月9日 深谷市

2,153頭

674人 12月15日
7,612頭 3,196人

 

・作業内容
 発生農場では、豚の殺処分の他、死体や汚染物品(農場に残った飼料、薬品等)の埋却、空になった畜舎や堆肥舎、農場の消毒などの作業があります。
 殺処分は、県に勤務する獣医師(家畜防疫員)が行い、炭酸ガスや薬剤投与により、なるべく苦痛を与えないように実施しています。
 このほか豚の追い込み、死体や汚染物品の積み込み、消毒作業等は、家畜防疫員の指示のもと県職員を中心とした動員者が行いました。
 その他、関係車両を消毒するための消毒ポイントの運営は県と協定を締結しているペストコントロール協会に委託、重機による埋却溝の掘削や埋却作業は建設業協会に委託して実施しました。
 筆者も、発生農場で殺処分等を行い、昼夜を問わず行うその作業は体力的にも精神的にも過酷なものでしたが、県職員がワンチームとなって対応し大きな事故もなく防疫措置を完了することができました。

・その後の対応
 令和元年11月から、ミニブタなど愛がん用も含めた全飼養豚のワクチン接種を開始するとともに、野生いのししを対象とした経口ワクチンの散布を行っています。
 5例目の発生を最後に、県内の飼養豚における発生はありませんが、近県でワクチン接種農場における発生も確認されており、家畜保健衛生所が野生動物侵入防止対策や消毒の徹底等の衛生対策の強化を指導しているところです。

・最後に
 現在、豚熱の発生は沈静化していますが、香川県や宮崎県などで同じく家きんの家畜伝染病である高病原性鳥インフルエンザの発生が相次いでおり、戦々恐々としているところです。
 鳥インフルエンザについては、過去のトピックスに記載しておりますので、併せてご覧ください。

 

 関連トピックス
 鳥インフルエンザの正しい知識と対応 2008.2.29
 鳥インフルエンザの正しい知識と対応Ⅱ 2013.1.23
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