犬の多くは、私たちと同じように家の中で暮らすようになりました。エアコンの効いた快適な環境で安心して過ごせる一方で、実は「運動不足」になりやすいという面もあります。特に小型犬は体重あたりの運動量が多く必要で、少しの変化が体調に影響することもあります。今回は、室内犬の運動不足を防ぐために、家庭でできる工夫を紹介します。
まずは「今の運動量を知ること」から始めましょう。毎日のお散歩が短くなった、遊び時間が減った、階段を嫌がるようになった、こうした小さな変化がサインです。体重がじわじわ増えてきた、寝てばかりいる、フードを食べるのが遅くなったといった様子も、運動不足の兆候かもしれません。
運動不足を解消するには、「動きたくなるきっかけ」を作ることが大切です。たとえば家の中でおやつを隠して探させる“宝探し遊び”や、おもちゃを投げて持ってこさせる“軽い追いかけっこ”は、運動と脳の刺激を同時に与えられます。フローリングで滑りやすい場合はマットを敷くなど、安全に遊べる環境づくりも忘れずに。ソファやベッドへのジャンプは膝を痛める原因になるため、踏み台やスロープを利用して負担を減らす工夫をしましょう。
お散歩も、距離より“質”を意識してみてください。毎回同じコースではなく、違う道を歩いたり、公園で少し立ち止まってにおいを嗅がせたりすることで、犬の好奇心が刺激され、脳の活性化にもつながります。小型犬でも1日20〜30分、2回に分けて行くのが理想的です。天候が悪い日は、廊下を往復したり、階段をゆっくり上り下りするだけでも十分な運動になります。
年齢や体格によって、適した運動量は異なります。子犬や若い犬はエネルギーを発散する時間が必要ですが、シニア犬は関節への負担が少ないストレッチや軽い歩行を中心にするのが安心です。関節疾患や心臓病を持つ犬は、運動の内容を獣医師と相談して調整しましょう。
運動不足を放置すると、肥満だけでなく、筋力低下や関節炎、便秘、さらにはストレス行動(吠える・かじるなど)につながることもあります。逆に、日常に少しの運動と刺激を加えるだけで、心身のバランスが整い、犬の表情や動きがいきいきしてきます。
愛犬が毎日、楽しく体を動かせるように。特別な道具がなくても、家の中のちょっとした工夫で、健康な習慣を育てることができます。運動は“遊び”の延長線上にあるもの。飼い主さんの笑顔こそが、最高の運動パートナーです。







