犬と猫の眼が白くみえる病気

2025年12月5日

 眼が白くみえる病気はなんですか?と聞かれて真っ先に思い浮かぶのは白内障ではないでしょうか。実は白内障以外にも眼が白くみえる病気はいくつかあります。
 眼が白くみえる病気は、①眼球表面の角膜が濁ってしまう病気 ②眼球内の前眼房水が濁ってしまう病気 ③眼球内のレンズの役割をする水晶体が濁ってしまう病気 に分類されます。

① 角膜が濁ってしまう病気
 眼の一番外側の膜を角膜といいます。角膜の濁る原因としては(1)角膜浮腫と(2)角膜結晶状混濁が挙げられます。
(1)角膜浮腫
角膜は上皮、角膜、内皮という透明な細胞が規則正しく並ぶことで透明な膜として機能しています。そこに何らかの要因で浮腫(角膜内の水分量の増加)が起きると規則正しい並びがくずれてしまい、透明なガラスがすりガラスになるように濁ってしまいます。角膜浮腫は角膜潰瘍などの角膜疾患や緑内障による眼圧の上昇などで引き起こされます。
(2)角膜結晶状混濁
角膜に白色の結晶がくっついてしまう病気です。角膜の炎症や慢性刺激の結果として結晶が沈着したり、全身の脂質代謝異常によって脂質が沈着したりしますが、特に原因となる病気もなく沈着することもあります。

② 前眼房水が濁ってしまう病気
 眼球の中は房水という透明な液体で満たされています。そのうち角膜と水晶体の間にある房水を前眼房水といいます。中心のレンズ(水晶体)の周りの茶色い部分に炎症が起きる病気をぶどう膜炎といいますが、ぶどう膜炎が起こると血液中のタンパクや血球、脂質などが前眼房水内に混ざってしまい、白く濁ってしまうことがあります。
 肉眼では白く見えないことが多いですが、細い光を斜めからあてることで白く濁っているかを確認できます。

③ 水晶体が濁ってしまう病気
 水晶体が濁る病気には(1)白内障と(2)核硬化症があります。
(1)白内障
 水晶体はタンパク質で構成されていますが、そのタンパク質が何らかの原因で
変性してしまう病気が白内障です。イメージとしては生卵がゆで卵になった状態と例えられることが多いです。加齢によりでてくる場合と糖尿病や網膜疾患などから発症することもあります。
(2)核硬化症
 水晶体の中心にある水晶体核が加齢に伴って変性して硬くなり、白く見えるようになる病気です。白内障とは違いこの病気で視覚に障害がでたり痛くなることはなく、治療も必要ありません。

 このように眼が白くなる病気は色々あります。眼が白くなってきたけど年だし白内障かな、と自己判断せずに動物病院で診てもらってください。

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